2012/06/06(水) 23:33 【 EDIT

カノジョ。:はじまりの日。

(・・・・は。)

声が、聞こえた。

(・・・ちは!)

遠いようで近い距離。
焦点が、合わない。

(・・・やったね!)

それは何故か、懐かしい響き。


大樹の影で心地よくうたた寝していた、はずだったのに。
気付けば殺人的な陽光に焦がされていた。

頭が割れそうに、痛む。

強い陽射しに目を細め、ぼんやりと遠景を眺めた。
日曜だというのに、サラリーマンが汗を拭いながら木陰で涼んでいる。
その傍らを、子供たちがはしゃぎながら通り過ぎて行った。
穏やかな笑顔でその背中を見送る彼の脳裏に蘇ったのは、どんな記憶だろうか。

(それにしても、あの声。)

夢現(ゆめうつつ)に聞いた声の主を求めて、周囲を確かめる。
覗き込むように見ていた、心配そうな表情。
輪郭がぼやけて、どうにもはっきりとは思い出せそうにない。

(・・・!)

不意に、視界の端を横切る異質な気配を感じた。
怪しい影を捉えようと、慌てて視線を走らせたけれど。
公園の時計が、訝しげにこちらを伺っているだけだった。

ため息を、ひとつ。

曖昧な記憶を頼りに、彼女のモンタージュを試みる。
結局は、足りないパーツがあまりにも多過ぎて諦めるしかなかった。

それでも。

射抜くようなあの力強い瞳だけは、覚えてる。

2012年5月20日(日)

彼女と出逢った、はじまりの日。

使い古された言い方かもしれないけど。
ひと目で、惹かれてしまったんだ。


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