2014/08/16(土) 23:59 【 EDIT

8月16日(土)

8月15日(金) ← 3D小説「bell」 → 8月17日(日)
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★★★これまで連絡していた山本よりタイムカプセル掘りの欠席を知らせるメール。

おはようございます、山本です。
楽しみにしすぎたのか、今朝になって熱を出してしまいました…。
とても山に入れるような体調ではありません。
とても残念ですが、今日はおとなしく寝ていようと思います…。

今日は、久瀬くんの知り合いの方々が、6人ほどいらっしゃるそうです。
彼らには合言葉を伝えてありますので、ご確認ください。
タイムカプセルは、すべて皆さんに渡してしまって構いません。

直接足を運べないこと、お兄さんに会えないこと、とても残念です。
今まで大変お世話になりましたm(_ _)m
いつか機会があれば、またお会いできるといいですね。


【3D小説『bell』運営より】
・本日の生放送に関しまして、天候の様子をみるために、開始を遅らせていただきます。
 現在は14時30分開始を予定しております。
 生放送「だれかのタイムカプセルを掘り起こそう!」:http://live.nicovideo.jp/watch/lv188841477

■久瀬太一/8月16日/14時40分

 松山空港から飛び乗ったタクシーの中で、八千代は言った。
「ひとりは間違いなく愛媛にいる」
 スイマのことだ。
「どいつだ?」
「ホール」
「ニールの知人だと言っていた奴か」
「あいつは古株だが、それほど聖夜協会とは関わっていない。中では比較的、近い位置にいた、程度だ」
「あんたの方が仲がいいかい?」
「オレのひどい勘違いじゃなきゃね。少し前まで電話1本で、道後温泉にだって呼び出せた」
 そういえば、温泉がどうのと言っていたような気もする。
「向こうから電話があったんだろう?」
「ああ。でも、すぐに切れた」
「あいつはなんて?」
「なんでもない、だったかな。ほんの一言が二言しか喋らなかった」
 八千代は少しだけいらだたしげに、クッキーを口の中に放り込んだ。昨日宮野さんに貰ったものだ。
「食うかい?」
 と彼が差し出したクッキーを貰う。美味い。高級なバターの味がする。でも昼食には物足りない。
 八千代が笑った。
「一通り終わったら、愛媛の美味い飯でも食おう」
「愛媛って、みかんの他にイメージがないな」
「前に食った鯛めしは美味かった」
「よし食おう」
 頷いてオレは、話を戻す。
「ホールとニールは繋がっているか?」
「繋がっていたなら、ほとんど詰んでる。あいつは誰にも撒けない。どこにだって、たったの一歩でやってくる」
「ニールの足跡」
「ああ」
「どうすればいい?」
「どうかな。正面から殴り合ったら、オレの方が強いはずだけどね」
「でも友達なんだろう?」
 ふ、っと吐き出して八千代は笑う。
「そうだな。あいつと組んで、君をぼこぼこにするかもしれない」
「怖い話だな」
 オレと八千代は、もう1枚ずつクッキーを食う。やはり美味い。
「なんにせよ、この辺りにいることが確認できたのはホールだけだ。あいつが昨夜取ったホテルまではわかっている。でも、今日も同じ部屋をとっているのかはわからない」
「同じ部屋だよ」
「なぜわかる?」
「直感だよ」
 昨日のバスからみえた光景では、オレと八千代がホテルの一室をあさっていた。部屋に荷物が残っていたのだから、連泊しているのは間違いない。
 八千代はほんの少しだけ悩んでいるようだったが、やがて頷いた。
「まあいい。まずはそのホテルに向かおう」
 八千代がタクシーの運転手に、ホテルの名前を告げる。
「山に行った方が手っ取り早くないか?」
「いくつか確認したいことがある。本当は、手分けをしたいんだ。でも君ひとりで山に行かせると、相手がホールひとりでも簡単に負けるだろ」
 その可能性が高いから、反論はしない。
「どうやって、取ったホテルを調べたんだ?」
「直感だよ。君と同じでね」
「あんたのプレゼントが関係しているのか?」
 八千代は肩をすくめてみせた。
「君もプレゼントを持っているのか?」
「いや――」
 あのバスは、プレゼントなのだろうか?
 わからない。超常現象はすべてプレゼントでひとまとめにした方が、まだしも気楽だった。でもオレは誰かに特別な力をプレゼントされた記憶なんてない。
 昨日、未来のオレを通じてソルから聞いたことを告げてみる。
「プレゼントってのは、貰うと記憶の一部がなくなることがあるらしい」
「それは初耳だな。情報源は?」
「友達だよ」
「君の友達は何者なんだ」
「オレもよくわかってない。でも、信用できる」
「そうかい。それで?」
「あんた、ミュージックプレイヤーの記憶を失くしているんじゃないのか?」
 八千代はなにかを馬鹿にするように、鼻で笑う。それは、ただの直感だけれど、自分自身を馬鹿にしているようにみえた。
「いや。覚えているよ。ただ苦手なだけなんだ」
 彼はクッキーの、最後の1枚を口の中に放り込んだ。
 それから大きな旅行鞄の中に手を突っ込む。宮野さんから受け取ったのはいろいろなお菓子の詰め合わせだったみたいだから、次のものを捜したのだろう。
「苦手?」
「ああ」
 彼が取り出したのは、袋詰めにされたキャンディだった。宮野さんに、八千代が好きなお菓子を聞かれたから、キャンディと答えておいた。キャンディ入りの菓子折りというのは珍しいように思うから、それなりに苦労して探したのかもしれない。
 キャンディの袋を手に取って、八千代はわずかに、眉間に皴を寄せる。それから、「やるよ」と言って、その袋をこちらによこした。
「どうして? 好きだろ?」
「いや」
 彼はまた、鞄に手を突っ込む。
「昔から苦手なものが、ふたつあってね」
「へぇ」
「キャンディとミュージックプレイヤーなんだ」 
 わけがわからない。
 ――いつも、あんなにキャンディを。
 そう考えて、ふと思い出す。
 八千代はキャンディを口に含んだあと、それをブラックコーヒーで無理やりに飲み込んでいるようでもあった。


■久瀬太一/8月16日/14時50分

 八千代はその、年期の入ったビジネスホテルで、てっとりばやくツインルームをひとつ借りた。
「喫煙できる部屋で頼む」
 と彼はいう。
 ――喫煙?
 八千代がタバコを吸っている姿をみたことはない。
 前払いの会計を済ませ、差し出されたペンを断り、内ポケットから高級そうな自前のペンを取り出して住所や間前をさらさらと書き込む。そして決まりきったストーリーをなぞるように受付と会話を交わす。
「チェックインは?」
「16時からになっております」
「そう。まだ少しあるね。荷物だけ部屋に置かせて貰いたいんだけど」
「よろしければ、フロントでお預かりいたしますが?」
「ありがとう。でもついでに、できれば部屋で一服したい」
「かしこまりました。お部屋は整っておりますので、ルームキーを――」
 八千代は、「助かるよ」と笑った。
 それからペンをくるりと回してしまおうとして、手から飛ばす。ペンはカウンターの向こうに落下して転がった。
「ああ、すまない」
 そう言って、八千代はカウンターから身を乗り出す。受付がボールペンを拾い上げ、それを八千代に渡した。
「ありがとう」
 と照れたように笑い、八千代はそのペンと、古臭いルームキーを受け取る。
 それから、オレに「いくぞ」と声をかけて、エレベーターの方へと歩く。
 小さな声で、オレは言った。
「おかしいと思ってたよ。あんたがでかい旅行鞄なんて持っているから」
「善意を利用するのは気がひけるが、いちばん平和的な方法なんだ」
「部屋はわかるのか?」
「候補はあるが、確証はない」
 八千代は5つの部屋番号を告げた。
「なぜわかる?」
「フロントに鍵がない部屋を調べただけだ」
 なるほど。今はチェックアウトの後で、チェックインの前だ。多くの鍵はフロントに揃っている。
「候補の中でシングルルームは?」
「2つ――だが、シングルだとは確定できない」
「どうして?」
「ここはシングルの部屋数が少ない。代わりにツインも、ひとり客に貸し出している」
「いや。シングルでいい」
「なぜわかる?」
「バスから窓の外を眺めてたんだよ」
「いつか詳しく訊きたいね」
 と、八千代は肩をすくめた。


■久瀬太一/8月16日/14時55分

 今どき滅多にみない、古いルームキーだったのが幸いしたようだ。八千代はそう時間をかけずに鍵をあけた。
「カードキーならどうするつもりだったんだ?」
 とオレは尋ねてみた。
「従業員にあけてもらうよ」
 と八千代は答えた。
 ドアを開いてすぐ、当たりだとわかった。部屋のかたすみに、あのバスからみたソフトスーツケースがあった。未来でオレがあさっていたスーツケースだ。
ソフトスーツケース
「確認したいことってのは、なんだ?」
「ホールに仲間がいるのか、だよ。ひとりきりならなんとかなる。でも大勢いたらいろいろと考えなければいけない」
「どっちの方が可能性が高い?」
「少なくとも、少人数ではあって欲しいね。調べ事は上手いつもりなんだ。大勢をみおとしてたなら気が滅入る」
 そういいながら八千代は、スーツケースを開く。
「仲間の情報なんてもの、そういう残ってるのかよ?」
「聖夜協会は非効率的な組織でね。紙資料が多い」
 ああ。――センセイの影響だかで、妙に捻った情報伝達をするからか。
「そうでなくても、ニールが絡んでいるなら、あるかもしれない」
「どうして?」
「あいつは電話もメールもあまり使わない。人からどうこう言われるのが嫌いだし、自分から言いたけりゃ会いに行った方か早い」
「でもあんたには電話がかかってきた」
「本当にレアなんだぜ? あいつの電話番号を知っているのは」
 八千代はスーツケースのポケットから、小さな紙片を取り出した。
「当たりだ」
 そう言って、しばらくその紙を眺めて、ふいに笑みを消す。
「おい、本当にニールが絡んでるのか?」
「いや」
 八千代は即座に否定して、それから短い時間、沈黙する。
「相手はわからない。でも、みろ」
 八千代から向けられた紙片を眺める。短い文章が並んでいた。
メモ
「待ち合わせ場所?」
「それよりも気になるのは、下の一文だよ」
 確かに、気になる。
 ――英雄の証が「どちらの状態」なのか確認しろ。
 一体、どういう意味だ?


★★★『タイムカプセルの在り処』発見。
★久瀬へ:君のタイムカプセルで「ジャンプ91」の長さが関係するらしいんだが心当たりはある?
 →【久瀬さんからの返信】いや、すまない。わからない。だがタイムカプセル関係で、こちらも問題が起こっている。
★久瀬へ:埋めたのは赤い缶で間違いないか?
 →【久瀬さんからの返信】すまない、どうしても、タイムカプセルを埋めたときのことを思い出せないんだ。
★久瀬へ:今ソルがタイムカプセルを掘ってる 埋めたのは赤いカンみたい 
 埋めた場所の暗号が残っているけどなにか覚えていない?
 →【久瀬さんからの返信】スイマのひとりが近くにいる可能性がある。おそらくそいつもタイムカプセルを狙っている。
 すまない、赤い缶については思い出せない。
・【久瀬さんからのメール】スイマの前で、タイムカプセルを開けるべきじゃないかもしれない。
 相手は、「バッヂの状態」を確認することが目的かもしれない。あまりスイマにバッヂをみせたくはない。

■久瀬太一/8月16日/15時15分

 ソルのスマートフォンが、震えた。

       ※

「今ソルがタイムカプセルを掘ってる 埋めたのは赤いカンみたい 埋めた場所の暗号が残っているけどなにか覚えていない?」

       ※

 ――今、タイムカプセルを掘っているのか?
 オレは慌てて、そのスマートフォンに返信する。
 ――スイマのひとりが近くにいる可能性がある。おそらくそいつもタイムカプセルを狙っている。赤い缶については思い出せない。
 途中、八千代が背後から声をかける。
「オレは、少し調べものをしてくる」
「なにを調べるんだ?」
「説明している暇がない」
 急げよ、と八千代が言う。
 昨日、バスでみた未来と同じように。
「事情はわからないが、あのメモの感じだと、あとから奪い返しても遅いかもしれない」
 そうだ。
 なんだかよくわからないが、向こうが気にしているのがヒーローバッヂの「状態」なら、ひと目みた時点で相手は目的を達成できるのかもしれない。
 なら確かに、急いだ方がよいのかもしれない。
 後ろで八千代が駆け出す。
 オレは、ソルへのメールの文面を書き足す。
 ――スイマの前で、タイムカプセルを開けるべきじゃないかもしれない。
 それから、ソフトスーツケースの中身をベッドの上に並べた。

荷物


★久瀬へ:今愛媛県伊予郡砥部町山中の越智の私有地にいる。タイムカプセルについて思い出せることはないか。
 →【久瀬さんからの返信】本当にすまない、埋めようと約束したことは覚えているんだが、
 どうしても埋めたときのことを思い出せないんだ。
・【久瀬さんからのメール】ソルの状況を知りたい。近くにスイマがいる可能性があるが、危険はないか?
 スイマは少なくとも、12時30分に松山市駅にいた可能性が高い。
★久瀬へ:ウキキっていうのを覚えていませんか?
 →【久瀬さんからのメール】それは覚えている。
 なぜか高いところに、浮き?かなにかがずっとひっかかっている木があったんだ。
 白石がウキキと呼び始めて、いつのまにかみんな使ってたな。
★久瀬へ:ホールの荷物の切符に書いてある駅を教えて下さい
 →【久瀬さんからのメール】岡山発、名古屋行の新幹線の切符だ。

■久瀬太一/8月16日/15時34分

ホールの荷物の切符に書いてある駅を教えて下さい

       ※

 ――切符。
 それが、ホールを特定するヒントになるのかはわからないけれど。
 それは、岡山から名古屋へと向かう新幹線チケットだ。

切符


★久瀬へ:久瀬くんのいる部屋のスーツケースの近くにある
  手帳?サイフ?のようなものの中身がどうなってるか見てほしい。何かヒントが見つかるかもしれない
 →【久瀬さんからの返信】あれは、手帳でもサイフでもなくて、たぶんメガネケースみたいだ。
★久瀬へ:越智幸弘君にお兄さんがいたか
 →【久瀬さんからの返信】すまない、あまりはっきりした記憶ではないんだが、オレには会った覚えがないな。
★久瀬へ:八千代にホールの特徴を聞いてくれ
 →【久瀬さんからの返信】すまない、今、近くには八千代がいないんだ。
 調べものをすると言って、部屋を出て行ってしまった。
★久瀬へ:ホールの荷物のTシャツはサイズを確認してください。
 →【久瀬さんからの返信】サイズ表記はMになっている!あまり大柄ではないようだ。
★久瀬へ:和やかに宝探しをしているよ。少なくともタイムカプセルの場所がはっきりするまでは危険はないだろう。
 もちろん、紛れ込んだスイマがだれかということに関しては調査を並行してい進めているが、
 眼鏡クリーナーをヒントにしようにも、ほとんど眼鏡で特定には至ってない。
 →【久瀬さんからの返信】わかった、ありがとう!たしかにふたを開かなければいいのかもしれないな。
 でも、スイマには気をつけて欲しい。
★久瀬へ:赤い星というものに覚えはありますか?
 →【久瀬さんからの返信】すまない、赤い星に思い当るものはない。
★久瀬へ:スーツケースの中身のうち、黒いTシャツの裾側に置いてあるものは何?
 →【久瀬さんからの返信】これはメガネクリーナーみたいだ。
★久瀬へ:Tシャツの下にある黒いものはなんですか?何か隠されていますか?
 →【久瀬さんからの返信】これは、男性用下着みたいだな。ボクサータイプだ。
★★★タイムカプセル発見。タイムカプセルはペコちゃんの赤い缶。 ※【参考記事】:タイムカプセルの中身
★久瀬へ:タイムカプセルがみつかりました! でも開けないでおきます!
 →【久瀬さんからの返信】みんな、すごいな!
 オレはホールの手がかりを探すために、もう少し部屋の中をみてみる。ちょっと待ってくれ!
★久瀬へ:暗号は、赤い星からペコちゃん一〇人、ウキキからジャンプ九一くらい、
 山の神様からマーブル二六本、です
 →【久瀬さんからの返信】わかった、ありがとう!ウキキは浮きのひっかかった木、
 山の神様はなにか像だったはずだが、白石と山本で意見がわかれていたな……。

■久瀬太一/8月16日/16時05分

 部屋はほとんど空だった。
 クローゼットにはハンガーが並んでいるだけで、備えつけの金庫もパスワードもかかっておらず、からっぽだ。
 最後にオレは、ゴミ箱の中を確認する。
 そこには、レシートが1枚あるきりだった。
レシート
 これが、ヒントになるか?
 ――だが。
 どれも、このホテルの部屋にはないものだ。
 おそらくホールは、これらを持ち歩いているのだろう。


★★★TV(トップバリューの略)バナナチップ、GB(ギャッツビーの略)フェイシャルペーパー、サラテクト無香料
バナナチップ フェイシャルペーパー サラテクト無香料
★久瀬へ:攻略本で見えなかった依頼。愛媛の愛情100%を、
 八千代がソルのスマホで検索、八千代が久瀬くんのスマホで検索、八千代が八千代のスマホで検索、
 久瀬くんが八千代のスマホで検索の4通りを試してほしい。
 →【久瀬さんからの返信】わかった、やってみる。
★久瀬へ:まだ確証は持てないがニールのプレゼントが壊れた可能性がある。
 例の久瀬くんの記憶巡りの最後にニールの過去と思われる2つの記憶が見え、以降ニールは姿を消している
 →【制作者からのメール】先ほど送信されたメールは、「100の謎」のトリガーとなる情報が含まれているため、
 彼には届かない。近々、対応する100の謎を公開する。
★久瀬へ:赤い鼻のトナカイ、ルドルフに憧れてたんだということを知った。なにかおもいだすことは?
 →【久瀬さんからの返信】うーん、確かに赤い鼻のトナカイは凄いなと思ったことはあるけど、
 あんまりこれと言った記憶はないな。すまない。
★久瀬へ:八千代が近くにいたら、ホールの特徴について何か聞いてもらえないか
 →【久瀬さんからの返信】すまない、あいつは調べものをすると行って出ていったきりだ……。
 オレもだんだん、人の部屋にいるのが不安になってきた。
★★★一部の品物をカメラおよび越智総一郎に見せないよう注意しつつ、タイムカプセルを開封。
 ※【参考記事】:タイムカプセルの中身
【タイムカプセルのペコ缶】Koba:KOBA.jpg
【サバイビー1巻、ポケモン赤、CD(セイントテール)】:カプセル中身5
--------------- ※以下の品物はカメラおよび越智総一郎に見せていない。 ---------------
【未開封/カードと封筒】:カプセル中身1 カプセル中身2 カプセル中身3 カプセル中身4
★久瀬へ:今度はレシートの全体を写真で送ってくれないか
 →【久瀬さんからの返信】わかった、送る。※添付されている画像が真っ黒
★★★生放送「だれかのタイムカプセルを掘り起こそう!」終了。
★久瀬へ:スイマらしき男を特定した 八千代はいるか タイムカプセルをどうしたものか指示が欲しい
 スイマが一人であることが確定できればそいつを除きソルだけで持ち帰って開ける
 →【久瀬さんからの返信】すごいな! 残念だが八千代はいない。ちょっと判断に困るが、中は気になるな。
★久瀬へ:疑わしい人物が誰か分かったかもしれない。カプセルは開けずに持ち帰った方がいいか?
 →【久瀬さんからの返信】すごいな! ありがとう!その人物に中をみられなければ大丈夫、だと思うが……。
★久瀬へ:どうやらこちらはホールらしき人物の確定に成功したようだ。
 ホールに見られないようにタイムカプセルを開けることにした
 →【久瀬さんからの返信】わかった、ありがとう!それがいちばんいいと思う!
★久瀬へ:久瀬君に朗報だ。こちらはタイムカプセルの中からバッジとクリスマスカードらしき物を確保した。
 →【久瀬さんからの返信】バッヂ、みつかったのか! よかった……。本当にありがとう!

■久瀬太一/8月16日/16時40分

 ソルたちから何通か、八千代にホールの特徴を尋ねるメールがきた。
 オレは八千代のスマートフォンに電話をかける。
「どうかしたかい?」
 と八千代は言った。
 ――こっちがききたい、どれだけ時間がかかってるんだ。
 と、思ったけれど、言葉を呑み込む。言い争っている場合じゃない。
「ホールの特徴を、知っているだけ教えてくれ」
「残念ながら、会ったことはないな。若い男だってことくらいしかわからない」
「どうして若い男だってわかるんだ?」
「電話で話したことはあるよ」
「いつ」
「あまり、君には言いたくないな」
 八千代は笑う。
「どうして?」
「悪魔絡みのごたごたで、ニールに声をかけられたとき、何度か電話を受けた」


■久瀬太一/8月16日/17時05分

 オレは、電波が切れたスマートフォンをにぎりしめる。
 ――よかった。
 どうやら、ソルたちはホールを特定したようだ。
 ならオレはもう、このホテルに留まっている必要はないだろう。

       ※

 ホテルを出て、オレはまず八千代に電話を入れた。
「あんた、なにしてたんだよ?」
「いろいろと調べものだよ。でも、なにもわからなかった」
「ホールに仲間はいたのか?」
「指示を出した誰かはいたはずだ。でも、たぶんもういない」
「どうして?」
「考えてみれば、近くにいるなら指示書きなんていらない。口で言えばいいだけだ」
 そんなもんか? ちょっと、発想が単純すぎる気もしたが。
「ホールは捕まったみたいだぜ」
「だれが捕まえたんだよ」
「いつもの友達だよ」
 そう告げて、オレの方から電話を切った。


★★★封筒の中からヒーローバッヂと思われる品物を発見。 ※【参考記事】:タイムカプセルの中身
バッヂらしきもの バッヂらしきものアップ バッヂアップ バッヂらしきものアップ2 がんばれ強調
【動画「少年ヒーロー」に登場するバッヂ】:バッヂ
【山本美憂の手紙】:美優 美優2 美優3

未来の私へ
私のしょうらいのゆめは、先生です。
まだかわっていませんか?
おととい、モモという本を読みました。
まだおぼえていますか?
すきなひとのこととかは、いいよね。
……(何文字か読めない)苦手だ!
ちゃんとみんなともだちですか?
それはだいじょうぶか。
いまは太一くんのことが心配です。
いつ退院できるんだろう?
あなたは知っているんだよね?いいなー。
P.S. あのバッヂだれにもらったのかきけた? じゃあね。
9才の山本美優


【白石隆の手紙】:白石隆1 白石隆2 白石隆3
【越智幸弘の手紙】:越智幸弘1 越智幸弘2
【越智、白石、山本の手紙、バッヂの入っていた封筒】:越智、白石、山本の手紙、バッヂの入っていた封筒

■久瀬太一/8月16日/18時

 タクシーで山の近くまで移動した。
 さすがに今さら遅いか、とも思ったけれど、もしかしたらソルたちに会えるかもしれない。
 大通りでタクシーを降り、小路を山の方向へと進む。道はなだらかな上り坂だ。意外に体力を奪われてつらい。でも懐かしい風景を眺めるのは悪い気分じゃない。
 右手に畑がみえる。しばらく進むと、左手にはほんの小さな、細長い公園。ゾウのすべり台がある。覚えている。かつてオレは、友人たちとこの辺りを走り回っていた。
 小路を左手に曲がり、少し進むと坂がその角度を増した。足元はまだアスファルトに覆われているが、木々が色合いを変え、いよいよ山に入ってきたなという実感がある。少し息が上がった。
 右手に少し開けたスペースがあり、ぽんとコンテナが置かれている。以前からかわらない。中はちょっとした居住空間になっているのだ。越智の父が作ったものだが、秘密基地のようでうらやましかった。
 オレは辺りを見渡す。
 だがやはりソルらしき人物の姿はない。夏の山はひっそりと静まり返っている。
 ――遅かったか。
 仕方ない。
 どうせなら山を上ろう、と思った。それほど高い山でもないけれど、意外なくらいに見晴らしがいいのを覚えていた。
 この山のことは、よく覚えていた。短い期間だったけれど、この山には何度も遊びにきた。
 鬼ごっこをして、バーベキューをした。あのコンテナにこもって、携帯ゲーム機を持ち寄って遊んだこともある。夏になればもっと思い出が増えただろう。でもオレは、たしかその前に引っ越した。だから夏のこの山にくるのはたぶん初めてだ。
 でも、春はどうだっただろう?
 冬はどうだっただろう?
 なぜかそのころのことが、上手く思い出せない。
 ずきん、と、頭が痛んだ。

       ※

 そして山のてっぺんに立ち、オレは少し驚く。
 ――あれ?
 これまで、タイムカプセルを掘ったような穴は、どこにもなかった。
 オレは周囲を見渡す。
 ウキキと呼んでいた、なぜか浮きが引っかかった気がある。白と黒、ふたつのなんだかよくわからない像がある。生い茂った草の影に、赤い針金でできた星がある。
 でも、タイムカプセルを掘り起こしたような穴は、どこにもない。

ウキキ:【ウキキ】 赤い星:【赤い星】


■久瀬太一/8月16日/18時57分

 たまたま、そう遠くない場所にホームセンターがあることを覚えていた。
 オレはそこまで引き返して、わざわざスコップと巻尺を買った。スマートフォンで、ソルから聞いていたタイムカプセルの在り処を示す長さを調べて、また山に登った。
 ひとりで巻尺を使うのは困難だった。
 位置を割り出して、スコップを突き立てる。やはり掘ったあとなんてない地面に。
 ――タイムカプセルは、ソルが掘り出したはずだ。
 本当に、ここにタイムカプセルがあるのかもわからない。スコップを握ってもまだ、当時のことは思い出せない。
 なのに。
 タイムカプセルに近づいている実感はあった。
 先ほどから、ひどく頭が痛む。どうして?
「春がきたら」
 とあのころ、友人たちと話していた。
「春がきたら、タイムカプセルを埋めよう」
「お前が遠くに行っても、また掘りに戻ってくるだろう?」
「タイムカプセルを埋めて、掘り返すときにまた会おう」
 今は、その会話は鮮明だった。
 彼らひとりひとりの表情まで思い出せた。みんないい奴だ。なのに。
 ――オレは、タイムカプセルを埋めなかったのか?
 どうして? 約束したのに。約束は守ると決めていたのに。
 ひどい頭痛に耐えながら、オレはスコップを地面につきたてる。土は硬い。それでも少しずつ掘り進む。こめかみの辺りから頬を伝って流れた汗が落下し、乾いた地面に吸い込まれる。
 最後。
 オレがここにいた、最後。
 冬だ。たぶん。雪は降っていなかった。冬の山で遊ぶのは難しくて、でもいつものようになんとなく、4人でここまできて――
「東京に行くんだって?」
 と言ったのは、白石だったような気がする。
「違うよ。祖母ちゃんちは、千葉だ」
 そうだ。たぶん、冬休みのころ。オレは毎年、祖母の家に行っていた。それで。
 スコップがなにかにぶつかり、カンと高い音が鳴る。
 ――缶?
 四角い缶だ。間違いない。
「あった」
 と思わず呟く。
 ――みつけた? 本当に?
 やはりオレは、その缶を知らなかった。
 みたこともなかった。
 それに、ソルたちが掘り起こしたはずだった。
 誰かの、知らないタイムカプセルを、オレは掘り当てた。
 ――どうして。
 ずきん、ずきんと顔の左半分が痛む。
 痛みで視界がかすんで、平衡感覚を失う。
 よろけて倒れそうになったとき、なにかがオレの肩をつかんだ。
 だれ――
「大丈夫か?」
 と、八千代の声がきこえた。
 オレはなんとか声を振り絞って、「大丈夫」と答えた。答えたはずだ、たぶん。
 痛みはどんどん、増していく。
 掠れて、歪んだ視界で、八千代が笑った。
「正直、不安だったんだけどね。君はよくやったよ」
 オレはなんとか、「ああ」と答える。
 どうやら八千代は、オレの身体を地面に横たえたようだった。
「君の仕事はここまでだ」
 おい。
 それは、どういうことだ?
 彼はオレが掘った穴から、赤く四角い缶を取り出す。
 ――え?
 と喉の奥で、声が漏れた。
 その缶には雑なイラストが描かれていた。見覚えのあるイラストだ。
 ――少年、ロケット?
 あの、不敵に笑う顔のついたロケットのイラストだ。どうしてあいつの絵がここに? 意味が――
 それをつかんだ八千代が、首を傾げる。それから、こちらを見下ろして、むしろ悲しげな口調で彼は言った。
「悪いね。旅行のガイドは、ここまでだ」
 視界が霞む。


■久瀬太一/8月16日/18時58分

 暗い。夜だ。
 オレは、夜のどこかにいた。
 ――どこ?
 知っている。ここは、あのバスターミナルだ。
 でも明かりはない。バスはこない。
 でもベンチにはひとり、女性が座っていた。
 髪の長い女性。双子のうちのひとり。
 ――グーテンベルク?
 彼女は、明るい笑みを浮かべて。
「読む?」
 そう言って、小冊子をさしだした。


■タイムカプセルの由来

 彼がいなくなったのは、小学3年生の冬だった。
 それから半年ほど経った。
 3人はもう4年生になっていたけれど、彼が帰ってくるのを待っていた。
 5月の終わりごろ、少年たちの前に、奇妙な男が現れた。スーツ姿で手には軍手をしていた。
「タイムカプセルを埋めないか?」
 とその男は言った。
「彼と約束したんだろう?」
 男とは面識がなかった。どうしてそんなことを知っているんだろう? 3人はもちろん、その男を怪しんだ。けれど。
「彼は引っ越すことが決まったんだ。もう当分、ここには帰ってこられない。だからタイムカプセルは、君たち3人だけで埋めるしかないんだよ」
 美優が小さな声で、「でも」という。
 男は彼女に微笑みかけた。なんだか寂しげな笑顔だった。
「タイムカプセルを埋めておけば、いつか一緒に、彼と掘り返せるさ。ほら、彼の宝物も預かってきたんだ」
 そういって男は、ぼろぼろになった、手作りの缶バッチをみせる。破れたところから少しだけ、ピンク色のイラストがみえていた。
「でも、オレたち、まだ宝物を準備してないんだ」
 と隆が言う。
「それはこっちで用意している。君たちは手紙だけ書いてくれればいい」
 人の宝物をタイムカプセルに埋めて、どうしろっていうんだ。
 でも、その男は言った。
「久瀬くんのためだよ。タイムカプセルが必要なんだ」
 あいつのため?
 どういうことだろう。
「おじさん、誰だよ?」
 と弘幸が言う。
 悲しそうに笑って、その男は少年たちの顔を覗き込む。
「悪者だよ。でも、後悔してるんだ」


■八千代雄吾/8月16日/19時

 オレはストロベリーのキャンディを、口の中に放り込む。
 すべて計画通りだ、なんてことはない。
 意外なことだらけだった。
 オレが正しい、とは思わない。
 なにもかも間違えているような気さえする。
 許してくれよ、なんて言うつもりはない。
 彼にどう思われようが、仕方のないことだ。
 ――みんな演技だ。
 たぶんキャンディをなめるのも、軽口を叩くのも。
 久瀬太一のことは、嫌いではなかった。出会い方によっては、あるいは友人のような関係になれたかもしれない。でも今回はどうしようもない。
 ――オレたちは元々、対立していた。
 ただ利用し合うことに決めただけだ。
 彼だってそのことを知っていたはずだ。本来のオレたちの関係は、ファーブルが強硬派を利用し、強硬派がファーブルを利用したのと変わらない。オレはそのことを覚えていて、彼は忘れていた。
 オレは横たわった久瀬太一を見下ろす。手間が省けた、と思った。彼は自ら気を失った。オレがなにかをする必要もなかった。
 オレは口の中のストロベリーキャンディを噛み砕く。甘ったるくて嫌になる。キャンディは大好きだ。でも苦手だ。
 唾を吐いて、スマートフォンを取り出して、119番にコールする。倒れている男をみつけたと一方的に話して、通話を切った。
 それから、赤い缶をもう一度眺めた。缶には奇妙な絵がついている。――笑うロケット? 子供の落書きみたいだ。
 久瀬は奇妙にやすらかな表情で眠っている。
 こいつは本当にヒーローなのかもしれない。あるいはどこかの誰かにとって、確かな救いになるのかもしれない。
 オレは、夢だとか、希望だとか、そういう馬鹿げたものを信じている。心の底から、本当に。
 だからきっと、こいつのことは嫌いではなかった。
 それでも。久瀬太一の仕事は、ここまでだ。
「君の彼女は、オレが助けてやるよ。ついでにね」
 そう呟いて、オレは誰かのヒーローに背を向けた。

       ※

 山道を下り終えたころ、ポケットの中のスマートフォンが震えた。
 知らない番号だが、相手はだいたいわかっている。
 オレは運がいいんだ。とくに、電話に関しては。
 通話のアイコンに触れて、相手よりも先に口を開く。
「メリーに連絡してくれ」
 向こうで、どこかの誰かが息を呑むのがわかった。
 気にせずに続ける。
「ヒーローバッヂを手に入れた。すぐにでも会いたい」

――To be continued


【8/16 21:29-21:37】メリーリュミエールの会話

トナカイ > メリーさん、いらっしゃい。 (08/16-21:29:22)
トナカイ > リュミエールさん、いらっしゃい。 (08/16-21:30:11)
★ メリー > ようこそいらっしゃいました。
★ リュミエール > ここでいいの?
★ メリー > ええ。
★ メリー > このチャットを知っているのは友人ばかりですから。

★ リュミエール > ニールも?
★ メリー > もちろん。
★ リュミエール > そう。あの件のお礼なんだけど。
★ メリー > 約束のものは?
★ リュミエール > 仲間が確保しているわ。
★ リュミエール > でも、ドイルの息子のプレゼントを壊してどうするつもり?

★ メリー > 今は彼がドイルです。
★ メリー > 目的は、大枠ではセンセイと同じはずですよ。

★ リュミエール > でも、目指している結末はまるで違う。
★ メリー > いいえ。
★ メリー > 優先順位が違うだけです。

★ リュミエール > ……そう。ま、いいわ。
★ リュミエール > データだけでいいのね? 近日、仲間から届くと思う。

トナカイ > メリーさん、さようなら~。 (08/16-21:37:34)
トナカイ > リュミエールさん、さようなら~。 (08/16-21:37:41)

8/16 21:29-21:37


★★★23:17頃、生放送「他人のアパート家探し」にてカメラに映っていた番号(050-315-96797)に電話をかけた。
 繋がったが「誰だ?」と聞かれ、慌てて切ってしまった。
★★★00:47頃、電話が転送され、男性の声で応答。「おい」「誰だ?」等の声に「もしもし?」とだけ返したところ、
 「誰からこの番号を聞いた?」と返され、切ってしまった。

8月15日(金) ← 3D小説「bell」 → 8月17日(日)
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